自己満の味噌煮

小説書く。難しい。

とある女神の絶望計画~リタルダンドの情~

許せなかった。
どうしても、どうしても。
ヒトの命が遊びに使われるのが
優しいヒトが失われるのが。


とある女神の絶望計画
リタルダンドの情~



『人に対して情を持った神は堕落する。』
俺がずっと守り続けてきたこと。
皆、心で言い続けた言葉。
この言葉を守らず堕落した神は何人もいた。
俺もそれを見ていた。
意味がわからなかった、そのときまでは。

「遊びに使うんだ」
「…は?」
「何年かヒトビトの日常を見て、つまらなくなったら壊す。どう?面白いでしょ?」

それだけは意味がわからなかった。
女神、リシュに苛立ちを覚えた。
何も知らずに死んでいくヒトはどうなる。
優しく強く生きているヒトはどうなる。
俺はそんなことを考えてしまった。
しかし俺は絶対に言えなかった。
俺が神ではなくなってしまうから。

「何言っても無駄だよ」
「黙って見てろよ」

部下はそう言うが、俺はもう手遅れだった。
彼女に会ったあの日から俺は情を持った。
俺は、堕ちた。
言葉に出さずとも、それには変わりなかった。


「リシュ、止めてくれ」
「嫌だよ」
「リシュ」
「嫌」

目の前にある地球儀がビキッと音を立てた。
あの地球儀が世界の象徴。
壊れることは世界崩壊を意味する。
世界が壊れる。
俺は許せなかった。
ヒトビトの生活を、初めて大切に思った。
理由なんて作る意味もない。
ただ守るだけだ。


首に手を掛ける。
儚い微笑みが写る。
後戻りはしない。


力を込めた。












『人に対して情を持った神は堕落する。』


神に反逆して、ヒトと同等になれるなら

それもまた良いだろう。