自己満の味噌煮

小説書く。難しい。

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

恋心と一進一退

好きな人の場所へ向かうまで、軽々と動く足。 それでも目の前になると、重々しい言葉と動かない口。 たまにじっと見つめていると、吸い込まれそうになったり 頑張って触れてみると、意外と近かったり。 彼との距離を測るのは、怖いけれど楽しい。 恋っていう…

全部壊した男

手を結んで、開いて。繰り返す。 手はちゃんと残っていた。 起き上がろうと下半身に力を入れる。 足もちゃんと残っている。 姫と目を合わせようと振り向く。 姫はもう何も残っていなかった。 またこの世界に生を受けたが、やっぱりこの夢ばかり見る。 帝都が…

地下に隠された決意の文書

森の中での生活、コーラルとの家事当番、町との交流。 何もかもがいつまでも一緒、彼女と会ってからも一緒。 ちょっとトラブルがあっても一緒、どんなに苦しくても一緒。 ずっと一緒だったものが最近崩れ去った。 コーラルが死んだ。町でもたくさんの人が死…

執念深く愛を求める

「飽きないなぁ、ヤスラ」 町から離れた、吹雪で荒れる氷山の上。 遠い世界から、此処まで来てしまった部下(弟子でもいいかもしれない)の執念深さにため息が出そうになった。 彼はいつもの目つき、まるで敵でも見ているかのような睨みつけ方で此方を見つめて…