自己満の味噌煮

小説書く。難しい。

恋心と一進一退

好きな人の場所へ向かうまで、軽々と動く足。

それでも目の前になると、重々しい言葉と動かない口。

たまにじっと見つめていると、吸い込まれそうになったり

頑張って触れてみると、意外と近かったり。

彼との距離を測るのは、怖いけれど楽しい。

恋っていうのは、怖いけれど楽しくて、意外と近くて遠くない。

 

最近、このままでも良いかもしれないなって思ってきた。

それを榎ちゃん達に言ったら、凄い怒られちゃったけれど。

私としては、どうしても、このままの方が楽なんじゃないかなって考えてしまうことも多くなっちゃって。

「何それ、霖ちゃんはそれでいいの!?」

「その男の子とあーんなことやこーんなことしたくないの?」

「童貞は黙ってて!!」

「…ええと、したくないとか、そんなんじゃないんだけどね…」

何だかとっても恥ずかしいことを言っている気がするけど、間違いでも誤解でもない。

恋人になりたいってそういうことだと、私も恥ずかしながら分かっている。

抱き合いたいとか、キスがしたいとか、……それ以上がしたい、とか。

彼とならしたいと思える、だから私は胸を張って好きだと言っているんだけれど、最近ちょっとだけ不安もある。

最初に言った通り、このままでも良いんじゃないかと思ってしまう時がある。

 

最近私も自慢出来ちゃうくらい、彼と仲良くなって距離が縮まったと思う。

でもそれで満足しちゃいそうなのは、いつもの私のネガティブな考え方の所為。

これ以上近づいたら、また離れちゃうんじゃないかとか、それならこのままがいいんじゃないかとか。

それが頭をぐるぐる回って、結局このままでいようと自己完結しようとしてしまう。

そして榎ちゃん達に相談して、また頑張ろうと思って、でもやっぱりと思って戻ってきての繰り返し。

私はまだダメダメだなあと痛感してちょっとだけ悔しくなる。

そしてまた今日、榎ちゃん達にこうやって話をしていた。

「霖ちゃん、そんなに気にすることないし、私としては脈ありだと思うよ!だから自信もって!というかもっと肉食でもいいんだよ!?」

「え、ええと…」

「榎、ちょっと霖困ってるよ。…霖は此処まで来るのに頑張って、ちょっと疲れてるだけなんだよ。だって、まだ、彼としたいことあるでしょ?」

「な、そんな、柵ちゃん、聞かないで…、は、恥ずかしいよ」

「ふふ、自分でも分かってるなら話は早いよ。まだ、近づきたいんだよね」

「…うん」

もう一度考えを改めた。

彼との今の関係も、はっきり言って好き。

話がしやすくて、不安じゃない程度に近くて、温かい気持ちになる。

けど、私の心はまだまだ彼の深い、核心の部分を求めてる。

「私、やっぱり恋人になりたい…。好きって言いたい、ぎゅってしたいし、たくさん、色んな事を共有したいから」

もう此処まで来ると恋心と言うより、下心なんだけれど、それも彼に対する心の一部だから仕方ない。

ダメダメな私も、自信のある私も、彼に近づきたい私も全部私だから。

何度も何度も気持ちを改めて、見返すことはあるだろうけど、それでも頑張って前に進んで行きたいな。

 

 

好きな人の場所へ向かうまで、軽々と動く足。

目の前になったら、今度はちゃんと笑顔。

次は自分から見返しちゃおう。

今度はもっと大胆にしちゃおう。

彼との距離を測るのは楽しいけど、これからは距離を縮めよう。

恋っていうのは、少しの不安と下心と、幸せと好きで出来ている。