自己満の味噌煮

小説書く。難しい。

2015-01-01から1年間の記事一覧

恋心と一進一退

好きな人の場所へ向かうまで、軽々と動く足。 それでも目の前になると、重々しい言葉と動かない口。 たまにじっと見つめていると、吸い込まれそうになったり 頑張って触れてみると、意外と近かったり。 彼との距離を測るのは、怖いけれど楽しい。 恋っていう…

全部壊した男

手を結んで、開いて。繰り返す。 手はちゃんと残っていた。 起き上がろうと下半身に力を入れる。 足もちゃんと残っている。 姫と目を合わせようと振り向く。 姫はもう何も残っていなかった。 またこの世界に生を受けたが、やっぱりこの夢ばかり見る。 帝都が…

地下に隠された決意の文書

森の中での生活、コーラルとの家事当番、町との交流。 何もかもがいつまでも一緒、彼女と会ってからも一緒。 ちょっとトラブルがあっても一緒、どんなに苦しくても一緒。 ずっと一緒だったものが最近崩れ去った。 コーラルが死んだ。町でもたくさんの人が死…

執念深く愛を求める

「飽きないなぁ、ヤスラ」 町から離れた、吹雪で荒れる氷山の上。 遠い世界から、此処まで来てしまった部下(弟子でもいいかもしれない)の執念深さにため息が出そうになった。 彼はいつもの目つき、まるで敵でも見ているかのような睨みつけ方で此方を見つめて…

七夕だぞ!全員集合!!

ジェダイト「……ってことで、貴様等、願い事を書け」 スピネル「上からッスね!?」 ネフライト「皆さん分、ありますよ~」※此処から願い事の乱立ッ!!~しぐれっど・みどないと・いのまい組~ ジェダイト「ロベリアと居られれば何も要らんな」 ネフライト「…

愛し君と狂った空間

気分良く、心地も良く、堕落する。 働き詰め、人の為に働き、あの世へ逝く。 __もういいと気付いた。そんなことをせずとも、良いのだと。 俺が働くのは、人の為に力を使ったりするのはお前の為だけで良いんだと。 「愛し君と狂った空間」 柔らかなソファを…

World tree is me. -2-

船を降りてから、私は少し観光をしてみた。 マントを買い、“チコート”と呼ばれる甘ったるくも美味しい温かな飲み物も買った。 街から離れた公園のベンチに腰を下ろして一つ息をついた。 温度が高いものが嫌いだったのに此処では真逆で、温かいものは大切だ。…

World tree is me. -1-

私の出身地と違い気温は低く、寒空が広がっている。 口を開けばほわりと白くなって浮く息は魔法のようで、消えていくそれをぼんやりと眺める。 この大きな新型の船に乗る人々は多いが、雪という小さい塊がちらついて凍えるような寒さの外に出る者はあまりい…