自己満の味噌煮

小説書く。難しい。

愛し君と狂った空間

気分良く、心地も良く、堕落する。
働き詰め、人の為に働き、あの世へ逝く。
__もういいと気付いた。そんなことをせずとも、良いのだと。
俺が働くのは、人の為に力を使ったりするのはお前の為だけで良いんだと。



「愛し君と狂った空間」



柔らかなソファを仰向けになって占領する。
占領するも何も此処は私の空間なのだが。
しかし此処がお前と俺の、二人だけで誰にも邪魔されない空間になったらと何度願ったことか。
あれから何年経ったのだろうか、お前とやっと再会したあの日から。
世界をも超えてやっとことで辿り着いたお前の体温に触れて、柄にもなくお前を抱いて号泣したあの日から。
お前はそんな情けない俺をずっと微笑みながらも撫でていてくれた。
鮮明に覚えているあの日から、もう何年もお前に会えていない。
だがしかし、お前に会えなくて死んだような生活をしていた前の俺と今の俺は違った。
俺はとても幸せに堕落をしたんだ。
お前を待つ、この時間さえも愛おしく、幸福な時間なのだ。
ロザリーの持ってきた紅茶を啜り、壁一面にある額に入れて綺麗に飾られたお前の写真を見渡して、またソファを占領する。
そして持ち歩いているお前の写真を手に取り、そっと傷のつかないように口付ける。
こんなに愛しているのに、お前が帰ってこないのは全てこの世界が悪いんだ。
神なんて何処へ行っても屑しかいないんだから、救いようがない。
そうだ、救われるべきなのはお前だけなんだから。

「ロザリス、ロザリー」
「「どうしましたか、マスター」」
「…あの花は」
「マスターがやっと愛する人の名前を教えてくれたので」
「そうですねぇ、マスターの大好きな“ロベリア”ですよ。あの花
「…ほう」
綺麗に飾られたその花を見つめた。
ただ気持ちが募って行くが、その分幸福な気分になる。
今日もお前の夢を見られそうだ、嗚呼、とても良いことだな。
ふ、と笑みを零してしまった。
「…よくやった。これからはこの花も積極的に飾ってくれるか」
「「仰せのままに、マスター」」
これでもっと、この空間は完璧に近づき、制裁の時は近づいていく。
お前を取り戻す日も近いということだ。
取り戻し、抱きしめて、あの日の感動をまた手に入れる。
あの日、スピネルを庇って瀕死になってからその夢ばかり見ていた。
お前を取り戻したい、また抱きしめたい、その温もりが欲しい。
冷えてしまった俺の肌に触れて欲しいと願った。
それはもうすぐ現実になる。
もう俺達の邪魔はさせないように、全てを殺そう。
お前と二人きりになる為に、俺が世界を創ろう。
心配するんじゃない、俺はお前の為なら何でも出来ただろう?
今だって、あの時、お前を追いかけて転生したあの時だって。
お前の為に出来ないことなどないんだ。
赤い糸は、まだ見えているだろう?
待っていてくれ、ロベリア。















「…ふん、貴様も私のことを可笑しいと言うか?
大体、考えてみろ。愛の形なんて常識で塗り固められているだけではないか。
そんな愛の形など要らない。愛の形なんて、俺達自身が創ってみせる。
法も、理も、なんだって犯すさ。
…ああ、喋り過ぎたな……



















さようなら 二度と生を受けてくれるなよ」