自己満の味噌煮

小説書く。難しい。

Innocent mind 39 「赤、紅、朱、緋?」

~軌道に乗る洗礼者~
「馬鹿かお前は!!」
案の上、私はテスカに怒鳴られた。
だよねぇ…やっぱり洗礼神がそんなんじゃ駄目だよねぇ…。
私が甘ったれていたようだ。トホホ…。
さっき私とテスカは再会を果たせたけれど…相談したらこの様だ。
「良いかよく聞け。お前は悪魔を管理する洗礼神だ。なのに異国の悪魔に恋をするなんてなんたる馬鹿げたことを…」
頭を抱えてやれやれ、といった表情を浮かべるテスカ。
良いもんテスカはずっと恋とか愛とか分かんないから堅苦しいんだもん。
「…お前な、好きになる気持ちは分かる。だが…後々どうするんだ。」
う゛っ…と私は言葉を詰まらせた。
確かに好きになって付き合えたとして神様としてはどうなるんだ。
重い罪を犯した同然だし何より…
アルデバランと同じ様にはなりたくなかった。
しかも…
「彼が私の事どう思ってるかまだ分からないしね。」
「…。」
それより聞きたいことが私にはあったのだ。
「む、どうした?」
「テスカ…身体はどうして…?」
そう言うとけろりとした顔でテスカはこう言った。
「あぁ、この身体は少しの間ある少年から借りているものだ。大丈夫だ問題ない。」
全然問題ある気がする。
はぁ…と溜息をつくと私達の居た小屋のドアが急に開いた。
「おいトロキアさん、アイツあちらから出向いて来やがったぜ。」
ドアの開け方とは裏腹に冷静な蜻蛉君が入ってきた。
アイツって…まさか。
「よう洗礼神さん!!」
にやりと笑ってレーゲンヴルムが窓を割って入ってきた。
「レーゲンヴルム!!」
「アイツか…。」
テスカはぼーっとレーゲンヴルムを見つめる。
これは私の仕事だ、色恋沙汰とかそんなの抜きで行く。
「はぁぁぁぁっ!!!」
私は剣で斬り付けた。
「ふっ、今日は何か甘いな?」
レーゲンヴルムにそう言われ、私は反応する。
確かにそうかもしれない…
今日は中々力が入らないのだ。
多分…悪魔と神の対立に疑問を覚えているからだろう。
もしこれが意味の無いことだとしたら…私は何をしているんだろう…。
「ボーっとしてて良いのかな?」
「ッ!?」
危ない危ない、ギリギリセーフ…。
やはり今日の私は何やら可笑しい。
あ、これフラグ立ったんじゃね。
って何言ってんだ私本当。
「…誰かが私に早く決着を付けろって言ってるみたいだね。」
私は目の前の敵をじっと睨みつけて覚悟を決め、相手に接近戦で挑む。

私は何かを忘れたい一心だったんだ。

心の中の邪念を。

貴方への気持ちを、言葉を、全てを。

伝えられないから…きっと、伝えるのは罪になってしまうから。

だから消してしまう為にも、私はコイツを倒さなければいけない。

…今は目の前の敵に集中することだけを考えよう。

 

少し近くを見ると、蜻蛉君と簪ちゃんと、そしてテスカが私を見ていた。

蜻蛉君は今にもレーゲンヴルムに飛び掛かろうとしそうな簪ちゃんに制止をかけ、此方をじっと見つめていた。

彼は私の何かを見透かしている様だった。

私が何かに終わりを告げたいと思っていること、私が一人で戦って終わらせたいことを悟っている様にも見えた。

私が終わらせなければ。

 

レーゲンヴルムは短剣と黒魔術を使ってくる。

長剣しか使わない私には不利だった。

ああ、もう苛々する。

集中しなければいけないのに、相手の言葉が混乱を招く。

「本当に馬鹿だよね、身分を分かっているのかそれとも…ねぇ」

「…私はそんなんじゃないんだから、この身分を、どれだけどれだけ恨んだことか!!」

突き刺す言葉と、刃の音。

私にはそれがすごく悲しい音の様に聞こえた。

「あぁ、ならそうだ。私が生まれ変わらせてあげよう。」

「それは嫌だね、私は今の気持ちとおさらばはしたいけど…自分の身体をおさらばする気は更々ないんだよ!!」

耳元で囁かれる言葉から逃れたがる私。

何かに取り憑かれた様なゾワリとした感覚から逃げたい、今すぐに。

これで、終わりにするんだ!!!!

私は剣に魔力を込める。

レーゲンヴルムもそれに気付き、とても悪いの籠った笑顔を見せて黒魔術を剣に込める。

終わらせよう、この憎い戦い。

 

 

 

 

あぁ何だろ。

目の前に流れて、身体から溢れてくる赤いモノ。

目の前が滲んでよく見えない。

「…ア、…トロ………ア…トロキア……!!」

 

呼んだ?って笑って返事したい。

けど、何だか力が入らないの。

隣に倒れている誰かが見えるし、きっと私は、終わったんだよね。

終わらせれたんだよね?

誰かに、褒めてもらえないのかな…。

私頑張ったんだよ、神様だから普通かもしれないけど。

それでも、褒めてもらいたい。

私は頑張ったよ、ねぇ。

 

 

 

 

 

 

…少しの間、おやすみ、さよなら。

 

 

 

 

~陽炎の殺人鬼~

 

…漂う血の臭いに俺は顔をしかめた。

懐かしい臭いと思ってしまうのは俺がきっと、殺人鬼の頃を思い出してしまうからだろう。

トロキアは、最後に小さく息をして微笑んで息を引き取った。

…彼女の気持ちは、彼女の想いの人に伝わったのだろうか。

隣で怯えて泣いている簪に目を閉じる様に言う。

そして俺は死体の処理をしようとした。

 

「…!?」

何処からかナイフが飛んでくる。

まさか、別の敵?それとも共犯者がまだ…?

「青年よ、彼は共犯者じゃない。それより逃げるんだ。」

「お、おい!?」

“彼”の姿をしたテスカは、大きな翼を広げ俺と簪を掴み空へ飛び立った。

ソイツの姿の時は何でも出来るんだな…。

 

俺達をしとめ損ねた誰かの舌打ちが

遠くから聞こえた様な気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

~?~

 

「…はぁ、やっちゃった。あの人達なら何か知ってるかと…」

ぐちゃ、ぐちゃと身体の中身を取り出しながらぶつぶつ呟く。

他の人から見たらただの可笑しい人。

いや、それは分かってるんだけど。

『てめぇ、馬鹿じゃねぇの、そんなとこねーって。』

「いやでも…トロキアさん、色々知ってたからさ…あ?」

僕の声に似たような、その憎たらしい声が後ろから聞こえる。

「何て顔してんの?あーかーるくんっ?」

後ろを向くと、いかにも僕を見下したような顔をした僕。

…いいや、彼は僕…「耀」じゃない。

彼は「容」だ。

僕が、僕が隠したかったが為に創った人格。

彼は僕の顎を手で器用に乗せる。

「…ふぅん、これが、元々の俺…ねぇ。」

「…何がしたいの。」

僕が持っていた仮面が無い。

きっと彼がやったことは彼に、ぼくがやったことは僕に降りかかっているから

仮面を被って殺戮をしたのは俺であり、僕じゃなく。

あの人に近づきたかったのは…

「そう、俺って事。」

耳元で、わざと吐息をかけて囁く「俺」に苛立ちを覚える。

「僕はこんな事望んでなかったって言いたいの?」

「自分を憎んでた犯源神に慈悲があるくらいだ、お前が…殺戮なんかを繰り返して…アイツに…そう、あの人に近付ける訳がないんだよ!!!!!」

チリッと、小さな鋭い痛みを感じたと思えば「俺」はバッと「僕」を突き飛ばし

「ヒャハハハハハハ!!」と不愉快な笑い声を響かせる。

首を見つめると、歯型のとこから血が流れてる。

ムカつく、彼は「俺」…そう己自身なのに。

飲み込まれそうな赤眼を大きく見開いて「俺」は「僕」を見て嘲笑う。

 

「慈悲のあるお前は、無慈悲な俺には…アイツにはなれっこないんだ!!!」

「…ッ。」

 

確かに、僕がしたかった事はこんな事じゃない。

…コメット君、君を助けること、それがしたかっただけなんです。

 

「ヒャハハハハハハハハ…はぁ、飽きた。」

そう言って容はしかめっ面に戻る。

そして容はにたりと笑った。

 

「お前じゃアイツに振り向いてもらえないさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued…

 

 

 

 

 

後書き

まとめ↓

・トロキア・レーゲンヴルム死亡

・蜻蛉・簪・テスカ(体クオーツ)逃げる

・耀と容が分裂

 

因みに蜻蛉達にナイフ投げたのは耀(自我も耀だった)

容は耀と結構外見違います。

 

容 外見15~17歳     耀 外見10~13歳

身長167cm        身長136cm

髪は赤。目は鮮やかな赤。 髪は赤。目は黒の掛かった赤。

髪の毛は解いていて、   髪の毛は下の方で二つ結び。

アホ毛は無理矢理     アホ毛は普通に跳ねてる。

直してる。        丸っこい目。

三白眼。

 

こんな感じです。

分裂した容君はショタじゃないです。

 

トロキアとレーゲンヴルム相討ちは結構前から考えてました。

 

 

それだけですかね。

ではでは。